22日、西公民館でふじみ野市消費者啓発事業が行われ、コロナ感染症対策に配慮した会場で「食の安全とタネの話」に多くの参加者が熱心に耳を傾けました。
自然環境に適応してより優秀な子孫を残そうとするタネの持つ特性を生かした農産物づくりは、日本でも古代から連綿と続いてきました。ところが、政府は2016年3月、基本食料である米・麦・大豆の研究・生産・普及を目的に作られた「種子法」を廃止しました。
講師の埼玉農民連(農民運動全国連合会)・関根耕太郎事務局長は、「民間企業の種子開発促進を理由に種子法が廃止されたことから、タネを守るため22道県が種子条例を制定、埼玉県は先鞭をつけた。また、植物の新品種を開発した人の権利を守る『種苗法』も多国籍企業の種子支配を目的に改正された。これまでは農家が種イモで芋を増やすなどの自家栽培を認めていたが、2020年12月の改正で自家増殖を許諾性とし、事実上禁止となった」と説明しました。さらに、「生産にかかる経費のうちタネ代は、米で2%、野菜で10%を占める。自家増殖が禁止されタネ代も年々値上がりしている現状から、農家経営への影響は大きい。国際条約でも自家増殖は農民の権利だと謳っている」と語りました。
最後に「農産物貿易の自由化を前提にした食料供給網は、コロナ危機で寸断された。解決策の要は家族農業。家族農業を支援することは、持続可能な開発目標(SDGs)達成のカギともなる」とまとめました。
参加者は、「種苗法改定で、ゲノム編集による新品種のトマトを生産できるそうだが、安全性はわからない。賢い消費者になるために、今回のような消費者啓発事業で勉強したい」と感想を語っていました。